top of page

AREA236開設趣意書

公認会計士 犬飼 陽介

 

1. 前提となる危機意識

    日本の人口は2008年をピークに減少し始め、高齢化率も増加しています。さまざまな人口予測が存在していますが、出生率を悲観的に見た場合、2024年現在1億2千万人の日本人人口は2040年には1億人になると予測されています。1億人と言えば1970年、前回の大阪万博が開催された年の人口です。当時の65歳以上の割合(高齢化率)は7%でしたが、2040年には38%に達すると予測されています。仮に5年や10年、人口減少を引き延ばすことができたとしても、外国人を除いた日本人人口が1億人を割るのは避けられません。

    現在の給付水準を維持するためには、年金、医療、介護、生活保護などの社会保障費が膨大な額となり、その財源を確保するための増税が避けられず、手取り収入の減少が予想されます。人口減少と高齢化により一人当たりの平均消費額も減少するため、企業の設備投資や住宅投資は消極的になり、人口が増加している海外へとマネーが流出するでしょう。政府支出も今以上に抑制される中、地方財政の逼迫により公共サービスの閉鎖が進み、地方の若者は都市部や海外へ転出する可能性が高まります。特に、外国語を話せる若者は給与の高い海外で働くことを選ぶでしょう。円安もそれを後押しするかもしれません。

2. 高齢化とスマートシニア

   こうした人口が急減する中で迎える高齢化社会、つまり逆ピラミッド化する人口構造社会において、高齢者が消費しない状況が続けば、経済は持続しません。もちろん外国人観光客によるインバウンド収入も期待されますが、2019年に日本を訪れた外国人観光客が3,188万人に達しただけでオーバーツーリズムの問題が発生しました。これに対して、フランスは8,932万人、スペインは8,350万人の外国人観光客を受け入れており、それぞれの国が観光インフラをしっかりと整えています。日本も地方の観光拠点を育成し、観光インフラの強化に努める必要があります。しかし、だからと言ってインバウンド収入への過度な期待は禁物です。

   やはり、高齢化社会においては圧倒的に人口が多い高齢者層が自ら稼いで消費することが重要になります。もちろんこれまでの高齢者のように収入が年金のみであれば、消費を抑制しようとするのは当然です。私自身も2040年には70歳になる予定であり、その責任を担う一人として真剣に考えています。地方に住みながらお金を稼ぐ方法として、「ネットで稼ぐ」ことに注目しています。SNSやAIを活用して、体力的にも無理なく収入を得る「スマートシニア」を目指します。

 

 インターネットがなかった昭和には存在しなかった概念ですが、苦手意識のある中年の人々も今から行動すれば十分に間に合います。頭の回転が良好なうちに始めることが重要です。会社員の場合、副業として準備を進めることをお勧めします。そしてAIはその後押しをしてくれます。AIは体力の差、スピードの差を埋める助けとなり、スマートシニアになるための重要なツールです。その時、自分の商品やサービスを外部に「表現」する必要があります。たくさんの人に伝えることが出来るインフルエンサーやデザイナーなど様々なクリエイターの存在意義を感じるでしょう。クリエイターが牽引する経済、それこそが“クリエイターエコノミー”と呼ばれるものです。

3. クリエイターエコノミーの推進

   クリエイターエコノミーは、消費者でもある個人が自らの創造性を活かして経済活動を行う新しい経済モデルです。私自身は公認会計士・税理士として、クリエイターをサポートして来ました。これからも弁護士や行政書士などの専門家とのネットワークを活かし、クリエイターが直面する法務や税務の問題を解決し、安心して創作活動に専念できる環境を提供します。

   海外ではクリエイターエコノミーが急速に成長しています。例えば、欧米では個人がデジタルコンテンツを世界に対して発信し収益を得る機会が増えています。クリエイターエコノミーは多様な分野で活躍する個人を支え、経済を活性化させる力を持っています。日本においても、このような国際的なトレンドを取り入れ、クリエイターエコノミーの発展を目指すことが重要です。

    AREA236は、総額6000万円以上の機材や設備だけではなく、7000点以上のレトロ品を保有しており、それらもビジネスアイデアに繋げることができると考えています。これにより、クリエイターたちは新しい視点から創造的なプロモーションやビジネスそのものを生み出すことができます。

4. 世界でバズれる時代

   日本にある素晴らしいモノやサービス、技術、景色、日々の習慣などを世界に対してうまくビジネスとして表現できるかどうかが、人口減少下にある日本の生命線となります。日本人では気づかない「当たり前のコトやモノ」も80億人もいる世界マーケットであれば売れるかもしれません。昭和においては、世界を狙うとなれば莫大な広告費を現地の広告代理店に支払う必要があり、それは一部の大企業にしかできませんでした。しかし現代においてはSNSを使えば、「世界でバズる」チャンスが誰にでも等しく与えられています。したがって、過疎化が進む地方の個人商店や中小企業でも、また一般消費者でも世界に対してうまくビジネスとして表現することができれば、世界を相手に商売ができる時代になりました。

   地方に住み続けたいと考える若い人たちが地元を離れる必要もなくなるかもしれません。出張で都市部や海外に行けば足りるからです。これまで存在した”言語の壁”も崩れつつあります。AIのおかげで翻訳ソフトの精度も飛躍的に向上したからです。そのため、英語や中国語など外国語で話したり聞いたりすることが苦手でも、日本語で記載されたウェブサイトやチャット、メールをリアルタイム翻訳することで、世界とスピーディーに取引することが可能となりました。あとは世界に対して何を売るか、何が売れるか、そこがポイントになります。アドバイスやアイデアをくれる外国人との交流も大切です。日本人には気づかない点を指摘してくれるからです。

   ビジネスに年齢は関係ありません。小学生でも世界の子供たちに向けてビジネスすることができます。高齢者も世界の高齢者に向けてビジネスができます。そしてそれを世界に広める際にもクリエイターが重要になります。その場合、日本のクリエイターだけでなく、外国のクリエイターに依頼することもあるかもしれません。

5. 外国人と日本:カタカナカラプロジェクト

   急速に減少し、高齢化が進む中で、日本は外国人との共存と輸出拡大の必要性を感じ始めています。これは明治維新における“開国”以来の最もエキサイティングな時期です。したがって、外国人には日本で働くだけでなく、日本国内でしか手に入らない高品質の商品やサービスを発見し、それを母国で販売する機会が生まれています。しかし、ほとんどの日本人は日本語しか話せません。したがって、少しでも日本語を話せる外国人はビジネスにおいて大きなアドバンテージを持ちます。今はまさにゴールドラッシュ前夜なのです。

   日本語は世界で最も難しい言語の一つと言われています。ひらがな46文字、カタカナ46文字、常用漢字2136文字、擬音語4500語、アルファベット26文字を組み合わせ、さらに独特の敬語の存在が日本語を一層複雑にしています。しかし、翻訳ソフトの進化により、読み書きは外国人にとって相対的に低い優先度となっています。むしろ、瞬時の応答が求められる会話、つまり話す力と聞く力が重要です。極端に言えば、文字を知らなくても問題ありませんが、実際には会話の際に必要な日本語を覚えるために文字を使いこなすことが求められます。その場合、ひらがなよりもカタカナの方が簡単であり、会話においてはカタカナを覚えるだけで十分です。ローマ字は国ごとに発音が異なるため、日本語の発音と一致する保証がありませんので日本語学習においてはおすすめしません。また会話に必要がない“漢字”の習得は後回しで大丈夫です。

    一般的に、日本語能力試験(JLPT)のN1を取得しても、会話能力が不足していることが多いです。スピーキングが試験科目にないためです。日本の子供たちはまず話すことと聞くことを学びますが、外国人の日本語教育は異なります。JLPTの合格を目的にしているからです。日本人が英語を話せない、聞けない理由と同じです。そこで、カタカナカラプロジェクトでは正しい発音を重視し、外国人が教科書に登場する不自然な会話ではなく、日本人同士で使われている自然な日本語会話を習得できるよう支援します。またアニメを吹き替えなしで聞けるようになるためには、この自然な日本語会話の習得を避けて通ることは出来ません。以上のようなカタカナカラプロジェクトを通じて、日本に関心を持つ外国人が日本でのビジネスチャンスを最大限に活かすことができるようになることを目指します。

6. 昔の中に眠る「財宝」

   現在のAIはインターネット上の知識に依存していますが、インターネットに登場しない情報には非常に貴重なものがあります。昔の製品や書物、そして人間の脳内にだけある知識や経験などです。過去の産物が現代でも大ヒットに繋がる可能性があります。世界最古の国、日本にはたくさんの「財宝」が眠っているはずです。例えば、江戸時代の用具は新しいキャンプ用品として発売できるかもしれませんし、明治や大正時代のレシピが飲食店の売り上げを倍増させるかもしれません。AREA236が7000点以上のレトロ品を収集して来たのも、ビジネスに応用できるヒントが隠されているからです。また高齢者との交流もボランティアではなく、彼ら彼女たちのノウハウを引き出して一緒にビジネスを作り上げることを目指します。高齢者の経験や思い出も財宝であると考えます。後述する“新しい回想法”と呼んでいるものです。

7. 認知症予防に向けた取り組み

   AREA236は、クリエイター支援だけでなく、地域社会の高齢者を対象とした認知症予防にも取り組んでいます。この取り組みもPWYW方式で提供されます。

  1. 視機能、認知機能トレーニングマシン(Supreme Vision L):

    • 反射神経、記憶力、有効視野の向上または維持を図ります。

  2. 若い世代や外国人との日常的交流:

    • 相互理解を促進し、柔軟な思考や価値観を共有することでストレスや孤独感を低下させます。

  3. レトロ品を用いた新しい回想法:

    • レトロ品を見たり触れたりすることで昔を懐かしみながら、新しいビジネスを若い世代や外国人と一緒に考えることで脳に良い刺激を与えます。

 

   認知症予防は、労働力確保や社会保障費の削減にも重要です。高齢者が健康で活動的であれば、社会全体が活力を持ち続けることができます。そんな国であれば高齢化社会を乗り越えられる気がするのです。日本のみならず中国、韓国、ヨーロッパも高齢化社会に突入しています。日本と同じような課題が表面化してくることでしょう。それゆえ先行している日本の高齢化社会への対応は世界中から注目されています。2025年に開催予定の大阪万博はそれを意識した重要なテーマなのですが、分かりにくいのでなかなか日本国内でも意図が伝わらないようです。

 

8. クリエイティブに対する意識のギャップ

 

    不思議なことに日本人は自らをクリエイティブだとは思っていません。これは謙遜ではなく本音です。しかし外国人に聞くと日本はクリエイティブな国だと言われます。この認知ギャップに興味を抱きました。2012年と2016年に実施されたAdobeの調査結果においても調査対象国の中で日本は最もクリエイティブな国であると評価されました。同時に日本人は日本を最もクリエイティブではない国だと自己評価していました。さらに「クリエイティブな活動は、企業の売上に影響を与える」と考えている人の割合も最下位でした。このクリエイティブな活動に対する意識の低さが日本経済における低成長の原因なのかもしれません。

9. AREAx構想

 

    クリエイターエコノミーの推進のために、まずは自分がリスクを取ってアクションを起こす必要があると考えました。それがAREA236です。2015年から9年かけて準備しました。同じくクリエイターを応援する空間がAREAxとして日本全国に広がることを期待しています。

   そのためにはまず、AREA236をプロジェクトとして成功させる必要があります。成功とは、資金的に持続可能であることを意味します。お金が足りないクリエイターやクリエイター志望者でも必要十分な機材と設備が使えるようにするためには、PWYW(Pay What You Want)方式しかないと考えました。

 

10. PWYW方式とその課題

 

   PWYW方式は、利用者が自分の経済状況やサービスの価値に応じて支払額を決定できる料金システムです。これにより、経済的なハードルを下げ、多くの人々にクリエイティブな活動の機会を提供します。しかし、過去のPWYW方式はキャッシュインフローが不安定でうまくいかないケースが多々ありました。この不安定さを補うために、AREA236では安定的な固定収入を確保することが重要と考えています。

 

11. 具体的な対策

  1. Tシャツ製造販売:

    • AREA236が保有するTシャツ印刷機を活用し、オリジナルTシャツを製造・販売します。

    • その利益を運営費用に充て、経済的な安定を図ります。

  2. 固定料金制の導入:

    • 固定料金の会員には、優先的に機材や設備を使用できる権利やその他の特典を提供します。

    • これにより、固定的な収入源を確保し、持続可能な運営を目指します。

 

    初期投資はアズコネクト株式会社が負担し、クリエイターが経済的な負担を感じずに活動を開始できるようにします。ランニングコストに必要な安定した収入源を確保するために営利活動を行い、長期的に持続可能な運営を実現します。

12. 終わりに

 

    こうした活動は、公認会計士の本来の業務とは異なると言われて来ました。しかし、数字の専門家であるがゆえに、今手を打たないとこの国は衰退することも計算出来てしまうのです。数字は残酷です。しかし、我々の先人が戦後の焼け野原から這い上がったように、我々もそろそろ本気を出す必要があるのではないでしょうか?そのためにも成功事例を作り、それが日本全国に広がることを目指します。先人から引き継いできた素晴らしい国を次の世代にいい形で引き継ぐために、一人の大阪商人として出来ることにラストチャレンジします。

 

誰も関心を示さず、これらの機材や設備がPWYW方式でさえも活用されないのであれば、いさぎよく機材や設備を売却して公認会計士も引退するつもりです。有言実行できなかった公認会計士に魅力はないでしょうから。でも私は日本や大阪の底力を信じています。

 

そんな覚悟を持って令和6年5月15日、生まれ故郷の大阪府高槻市にオープンします。

AREA236

住所:〒569-0086 大阪府高槻市松原町6-3亀井高槻ビル2階

営業時間:通常は平日午前10時から午後5時まで。ただし、それ以外の日や時間帯も営業していることがありますので、Eventsページをご覧いただくか、Contactページよりお問い合わせ下さい。

Cormorant Garamond is a classic font with a modern twist. It's easy to read on screens of every shape and size, and perfect for long blocks of text.

Avenir Light is a clean and stylish font favored by designers. It's easy on the eyes and a great go-to font for titles, paragraphs & more.

利用規約 プライバシーポリシー 特定商取引法に基づく表記

© 2024  AREA236 Powered by Cynosys Inc. and Asconnect Co.,Ltd.

bottom of page